六朝時代の詩人、庾信の「鏡賦」には次のような表現があります。
ここで庾信は鏡の反射光のなかに「菱」が浮かび上がると詠んでいます。いわゆる魔鏡現象と思われますが、さらに庾信は鏡の反射光を「菱花」と表現しました。「王昭君」と題した楽府に、
とあります。 庾信以後も「菱花」は鏡の反射光を表す言葉として好まれたらしく、宋代には鏡そのものを意味するようになっていました。陸佃の編纂した『埤雅』巻十五に、
と記されています。 唐代を中心とした銅鏡研究サイトを立ち上げるにあたり、この「菱花」をもって菱花亭と名づけました。
平成二十一年己丑卯月 |