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文獻引導
唐鏡研究に必携の文献を紹介

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  • 梁上椿編(田中琢・岡村秀典邦訳)『巖窟蔵鏡』1989年 同朋舎出版
    原本は1940〜42年に中国で150部だけ刊行されました。戦国時代から清代までの鏡が網羅されており、大まかですが、出土地も記されています。
  • 梅原末治編『唐鏡大観』(復刻版) 1984年 同朋舎出版
    唐鏡研究における基本文献。原本は1945年(本篇)と1948年(解説篇)に美術書院から刊行されましたが、国内と欧米にある主な唐鏡を収録し、その資料的価値は失われていません。ただ、所蔵者が変わってる作品もあるので注意が必要。
  • 黒川幸七『古鏡図鑑』1951年 黒川古文化研究所
    黒川古文化研究所の収蔵鏡図録。1990年発刊の『黒川古文化研究所名品選』には掲載されていない唐鏡も。
  • 京都国立博物館編『漢鏡と隋唐鏡図録−守屋孝蔵蒐集−』1971年
    京都国立博物館に寄贈された守屋孝蔵旧蔵の鏡。大型の図録で、写真が大きく解説も詳細。
  • 正倉院事務所編『正倉院の金工』1976年 日本経済新聞社
    正倉院の金工品を集めた大型図録。もちろん鏡もすべて掲載されています。鈴木寛治爾氏の「正倉院金工の鋳金技法」と中野政樹氏の「正倉院鏡とその同文様鏡」は唐鏡の研究で重要な論文。
  • 和泉市久保惣記念美術館編『和泉市久保惣記念美術館蔵鏡図録』1985年
    銘文の解釈も行われていて、蔵品図録としてはかなり詳しい内容になっています。別に鏡の拓本集が刊行されています。
  • 京都国立博物館編『京都国立博物館蔵品図版目録』陶磁・金工編 1987年
    便利堂
    京都国立博物館が所蔵する陶磁器と金工品の図版目録。「目録」なので、写真が小さく、データも簡潔。
  • 正倉院事務所編『正倉院宝物』北倉 1987年 朝日新聞社
    正倉院北倉に伝世した鏡が載っていますが、代表作のみ。解説は丁寧です。
  • 正倉院事務所編『正倉院宝物』南倉 1989年 朝日新聞社
    正倉院南倉の主な鏡が載っています。
  • 白鶴美術館編『白鶴美術館名品選』1989年
    白鶴美術館の名品図録です。図版が大きく、しかも全てカラー写真で、細部までよくわかります。
  • 大谷女子大学資料館編『収蔵品図録II−鏡鑑−』1989年
    カラー写真は巻頭の1枚だけ。あとは白黒写真と拓本です。
  • 黒川古文化研究所編『黒川古文化研究所名品選』1990年
    黒川古文化研究所の名品図録。鏡については写真だけでなく拓本も載っていて親切。
  • 樋口隆康編『鏡鑑』1990年
    泉屋博古館の蔵鏡図録です。名品図録には取り上げられないような鏡まで載っています。
  • 中野政樹・東京藝術大学芸術資料館編
    『東洋の鏡−東京藝術大学所蔵鏡鑑−』 1996年
    中野政樹教授の退官記念に開催された展覧会の図録。芸大所蔵鏡の名品が大きな図版で紹介されています。当時、希望者には無料で配布されていました。
  • 大谷女子大学資料館編『収蔵品図録V−鏡鑑2−』1999年
    1冊目より採録枚数が増え、解説も詳細になっています。
  • 正倉院事務所編『正倉院寶物』1 北倉 I 1994年 毎日新聞社
    正倉院北倉のすべての鏡が掲載されています。写真は朝日新聞社版より鮮明ですが、解説はほとんどありません。
  • 正倉院事務所編『正倉院寶物』7 南倉 I 1995年 毎日新聞社
    正倉院南倉のすべての鏡が掲載されています。やはり解説はほとんどありません。
  • 泉屋博古館編『泉屋博古』鏡鑑編 2004年
    1990年に出版された泉屋博古館の『鏡鑑』を増補したもの。写真がすべてカラーになりました。
  • 陝西省文物管理委員会編『陝西省出土銅鏡』1959年 文物出版社
    新中国成立後から1950年代に陝西省で発掘された銅鏡の図録。現在でも唐鏡の編年には不可欠の文献です。ただ、出土状況や被葬者名が記されていないなど情報量はいま一つ。
  • 湖南省博物館編『湖南出土銅鏡図録』1960年 文物出版社
    唐鏡の数は『陝西省出土銅鏡』より少なめ。巻頭に墓番号や墓室の構造、伴出遺物をまとめた一覧表が付いています。
  • 四川省博物館・重慶市博物館編『四川省出土銅鏡』1960年 文物出版社
    唐鏡はあまり載っていません。
  • 陳佩芬編『上海博物館蔵青銅鏡』1987年 上海書画出版社
    上海博物館の蔵鏡図録。鏡1面につきカラー写真と拓本が載っています。この図録には開元十年(722)銘の月宮鏡が採録されていますが、後世の偽物という見方が有力です。
  • 王士倫編『浙江出土銅鏡』1987年 文物出版社
    出土墓の被葬者名も記されていて50〜60年代に刊行された図録より解説が詳しくなっています。巻頭の概説も一読の価値あり。
  • 洛陽博物館編『洛陽出土銅鏡』1988年 文物出版社
    被葬者名が記されていないなど『浙江出土銅鏡』より後退した感があります。
  • 張英編『吉林出土銅鏡』1990年 文物出版社
    ほとんどが金代の鏡で、唐鏡はわずか。ただ、金代に鋳造された唐鏡の模作がかなり載っています。
  • 九江市博物館・呉水存編『九江出土銅鏡』1993年 文物出版社
    江西省九江地区で出土・収集された鏡の図録。写真は暗めですが、一部には拓本も掲載されています。出土墓の被葬者名も記されています。
  • 郭玉海編『故宮蔵鏡』1996年 紫禁城出版社
    北京の故宮博物院の蔵鏡図録です。図版はほとんど拓本ですが、かなり鮮明。解説には参考文献をあげるなど丁寧です。中国で刊行された他の図録よりやや高価。
  • 河北省文物研究所編『歴代銅鏡紋飾』1996年 河北美術出版社
    河北省で出土あるいは収集された鏡の図録。唐鏡もかなり採録されていますが、紀年墓から出土した作品は趙天水墓〔咸通十一年(870)葬〕のみ。
  • 旅順博物館編『旅順博物館蔵銅鏡』1997年 文物出版社
    近年発刊された図録としてはコンパクトサイズ。「天宝二年(743)冬十月…」という墨書銘のある素文鏡が載っています。
  • 広西壮族自治区博物館編『広西銅鏡』2004年 文物出版社
    広西壮族自治区で発掘、収集された銅鏡を紹介。ただし、唐鏡はあまり掲載されていません。
  • 上海博物館編『練形神冶 瑩質良工−上海博物館蔵銅鏡精品−』2005年
    上海書画出版社
    1987年に出版された『上海博物館蔵青銅鏡』の増訂版。点数が大幅に増え、唐代以後の作品も掲載されています。写真はすべてカラーで、鮮明です。
  • 王士倫編・王牧修訂『浙江出土銅鏡』修訂本 2006年 文物出版社
    1987年に出版された『浙江出土銅鏡』の修訂本。新出の資料を加え、写真も格段に向上しています。特に、中国の鏡像の遺品として雷峰塔や霊石寺塔で発見された鏡は重要。
  • 故宮博物院編『故宮収蔵 爾應該知道的200的銅鏡』2007年 紫禁城出版社
    北京の故宮博物院に収蔵される銅鏡を紹介。『故宮蔵鏡』に未掲載の唐鏡も。
  • 安徽省文物考古研究所・六安市文物局編『六安出土銅鏡』2008年
    文物出版社
    安徽省西部、六安市周辺で発掘、収集された銅鏡を紹介。唐鏡の資料も充実しています。大阪府吹田市の五反島遺跡で出土した瑞花双鳳麒麟狻猊鏡の同型鏡が二面掲載されています。
  • 西安市文物保護考古所編『西安文物精華−銅鏡−』2008年
    世界図書出版西安公司
    陝西省西安市で発掘、収集された銅鏡のうち、主として1970年代以降に知られたものを紹介。他の地域の資料に比べて精良な唐鏡が掲載されています。
  • 孔祥星・劉一曼(高倉洋彰ほか邦訳)『図説中国古代銅鏡』1991年
    中国書店
    原本は1984年に文物出版社から発刊された『中国古代銅鏡』。殷周時代から元代に至る中国鏡の流れがわかりやすくまとめられています。図版も多く、中国鏡の入門書として最適です。2001年に復刊されたので、まだ新本で入手できるかも知れません。
  • 勝部明生『海獣葡萄鏡の研究』1996年 臨川書店
    国内外の海獣葡萄鏡を広く集め、詳細な型式分類を行っています。現在、海獣葡萄鏡の研究書としては最も充実した内容です。
  • 杉山洋『唐式鏡の研究−飛鳥・奈良時代金属器生産の諸問題−』2003年
    鶴山堂
    主に鋳造技法の観点から日本で出土、伝世した唐式鏡を考察。杉山氏が提唱した「系列」と「段階」の概念は同型鏡を研究する上でキーワードになるでしょう。
  • 中国科学院考古研究所編『西安郊区隋唐墓』1966年 科学出版社
    紀年墓から出土した鏡が多数紹介されていて、唐鏡の編年に役立ちます。
  • 中国社会科学院考古研究所編『唐長安城郊隋唐墓』1980年 文物出版社
    報告されている墓の数は『西安郊区隋唐墓』より少ないですが、その分、内容は詳細。独狐思貞墓〔神功二年(698)葬〕出土の海獣葡萄鏡は高松恁テ墳から出土したものと同型です。
  • 東京国立博物館編『法隆寺献納宝物特別調査概報II−鏡鑑−』1981年
    東京国立博物館
    法隆寺献納宝物のうち鏡に関する調査概報です。2面の海礒鏡を方眼枠で区切って比較した写真があり、両鏡の違いがより明瞭になってます。
  • 中国社会科学院考古研究所『偃師杏園唐墓』2001年 科学出版社
    河南省偃師市杏園村で発掘された唐墓群に関する報告書。出土品のなかでも鏡について詳細な報告が行われており、唐鏡の研究に役立ちます。写真や拓本も多数掲載。
  • 中野政樹「奈良時代における出土・伝世唐式鏡の基礎資料および同范鏡の分布とその鋳造技術」(『東京国立博物館紀要』第8号掲載 1973年3月)
    日本における唐鏡の受容を考えるには必読の論文。出土資料については情報の古さも感じられますが、基礎資料集成としての意義は今でも十分にあります。同型鏡の鋳造技法に関する論考も重要。
  • 小南一郎「鏡をめぐる伝承−中国の場合−」
    (森浩一編『鏡−日本古代文化の探求−』所収 1978年 社会思想社)
    古代中国人の鏡に対する考え方を知る上で参考になります。引用文献はすべて日本語に訳されていて読みやすく、典拠も明示されているので原文に当たることもできます。
  • 徐殿魁「唐鏡分期的考古学探討」『考古学報』1994年第3期
    鏡背文様に基づき唐鏡の分類を行った論文です。付録の「紀年唐墓出土百面銅鏡登記表」は唐鏡の編年に役立ちますが、錯誤や遺漏も多く、秋山氏が追加訂正を行っています。
  • 秋山進午「隋唐式鏡綜論」(『泉屋博古館紀要』第11巻掲載 1995年5月)
    隋唐鏡の分類と編年を行った論文。現在知られている鏡背文様はほとんど網羅されています。特に唐代前半の鏡に関する考察が詳細。
  • 西村俊範「隋・唐の鏡」(中野徹ほか編『世界美術大全集』東洋編第4巻
    「隋唐」所収 1997年 小学館)
    隋代から唐代における鏡の展開が簡潔にわかりやすく述べられています。
  • 戴應新「隋豐寧公主與韋圓照合葬墓」『故宮文物月刊』1998年9月
    紀年墓を基準にした唐鏡の編年を根底から揺るがす報告。今後、唐鏡(特に隋代から盛唐期)の編年を行う際にはこの報告の扱いが問題になってくると思います。
  • 成瀬正和「正倉院鏡を中心とした唐式鏡の化学的調査」(『日本の美術』393号
    掲載 1999年2月)
    金属組成の分析結果から正倉院北倉と南倉に伝わる鏡を唐製と日本製(官営工房と民間工房)に分類しています。

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